井戸水

【井戸水について】

 

自然災害が増えると、断水があったりすると、『井戸水』が見直されます。

地下水はすばらしい! 多くの人がそう思っていると思います。

私もそう思っています。

 

しかし、ここにも大きな大きな落とし穴が・・・

もう30年以上前のお話ですが、我が家の自宅を作るときに、水道水と併用して井戸水も使えるようにしようと、役場の水道課に相談に行った。

驚くべき答えが返ってきた。

「役場としては、井戸を掘らないように指導しています。強制ではないですが。おそらく、どこに井戸を掘っても、水道水の水質基準を満たすことが出来ません。【残留農薬】と【硝酸性窒素】は、基準値オーバーとなるはずです。既存の井戸でもほぼすべて基準値オーバーで飲用には使用できません。」と。

「飲み水には使わずに、庭の散水だけに使うのであれば問題ないですか?」と尋ねると、

「家の人は分かっているかもしれませんが、誰かが来た時に知らずに飲んでしまうとか、小さなお子さんが飲んでしまうということもあるから、新たに井戸は掘らないようにしてください。」との回答。

「一般的には、井戸は10~15mくらいしか掘らないようですけど、20m以上掘れば大丈夫なのでは?」と質問すると、

「水田が広がる地域では、どこまで浸透しているか分からないと思います。それに、杉浦さんの建築予定地はゴルフ場に近いからもっと危ないと思いますよ。ゴルフ場の地下水の水道(みずみち)と重なったら、どれだけ掘っても同じかもしれないしね。工事代が無駄になるかもしれませんよ。」

このようなやりとりの末・・・

 

たしかに、我が家には、生まれたばかりの子どももいた。これから外で大いに遊ばせようと思っているから断念しよう。ということで井戸は掘らなかった。

 

ここで私は、大きな大きな疑問を持った。

役場は、「地下水が農薬や肥料で汚染されていることを知っている。飲むことが出来ないくらい汚染されていることを承知している。何十メートル掘っても危ないかもしれないと考えている。にもかかわらず、農薬を減らすための政策も指導も一切しない。どう考えてもおかしい・・・」と。

 

ちょっと話は逸れますが、

その後、美味しいお水が飲みたい。安全な水を飲みたい、との思いから、奥三河の湧水を汲みに行くようになった。

月に1回、20リットルのポリタンク10本ほど、車をウンウン唸らせながら、毎月毎月通った。

全部で10カ所くらいあっただろうか・・・ その中でもより美味しいお水の場所と、時間のない時には汲みやすい場所に行くようになっていった。

 

あるとき、突然、そのうちの1カ所が閉鎖された。

誰かが保健所で水質検査の依頼をしたようだ。

なんと、飲料水としての基準値オーバーの残留農薬が検出されたという。

取水口から上には、家も田んぼも畑もない。あるのは山だけなのにどうして???

近くの人に聞いたら、「松枯れ防止のための防虫剤を、毎年毎年、ヘリコプターで大量に撒く。植林の際に、事前に除草剤を驚くほど大量に撒く。湧水の色が変わるくらいに・・・」ということだった。

 

こんな話を聞いては、もう水汲みにも行けない。

そして、美味しい水探しの模索が始まった。

 

さて、井戸のお話に戻ります。

にんぽう倶楽部をスタートさせてから、私は、ことあるたびに、「井戸水を安全に美味しく飲める環境を取り戻そうよ!」と言い続けている。

「のどかな田園風景の広がる場所であればあるほど、地下水が汚染されている。これって、どう考えても異常ですよね!」と。

 

都会のど真ん中に自宅を構える友人がいる。その敷地には、古くからの井戸がある。災害時の非常用の井戸に指定され、1年に1回、保健所が水質検査にやってくるそうだ。

過去、すべて検査で、最高の水質との検査結果をもらっているという。

敷地のまわりに土の見える場所は一切ない。ビル、コンクリート、アスファルトに覆い尽くされた場所だ。おっと土があった。コンクリートに囲まれた数少ない街路樹の狭い丸の中。マンションのベランダに置いてあるプランターの中。除草剤を散布する必要もないほどの小さな場所、少ない土。

コンクリートジャングルの中であれば、有害物質が土から浸透しない。

遠くから地下水が流れる中で浄化される。

だからきれいなんだと。だから安全なんだと。だからおいしいんだと。

 

何とも皮肉な世の中になったものだな~~~ とつくづく思う。

 

今現在、私が借りている畑には、もともと井戸があった。

ポンプがなかったので、手押しのポンプを取り付けた(10年以上前)。

隣は、少し低い位置で水田になっている。

ポンプを付けて、ウキウキで意気揚々と水を汲み上げる。

「ムッムッ・・・ 臭いぞ・・・ これは使えない!」

過去の役場とのやりとりが思い出される。「これだったのか・・・」

 

道具小屋を設置し、屋根から雨水を溜めることにした。

今は、小屋も撤去し、壊れたポンプと風呂桶だけが残っている。

その風呂桶に、槇之木さんからもらったたくさんの「牡蠣殻」をしっかり雨水に晒してから入れた。

何ときれいな水! 今もいつも透き通っている。

 

私は、もう10年近く、種まきの時も苗の移植の時も全くと言っていいほど水やりをしていない。

農業用水を止められて使えないからだ。

井戸水が汚染されているからだ。

過去には、家で貯めた雨水を、同じく牡蠣殻で浄化して、200リットリタンク2本(合計400リットル)をポンプで移して、軽トラに乗せて、さらにポンプを使って水やりをしていた時もあるが、小さな面積の水やりに半日・1日かかってしまうので、しないことにした。

やってみて・・・ 実は何の支障もない。

それどころか、特に、苗の移植については、水やりをしないほうが、しばらくは成長が遅いが、その後は台風や大雨や渇水に強いということが分かってきた。

怪我の功名とはこのことです。

 

おっと、また脱線ですね。

畑の場所を知っている方、機会があれば、風呂桶の中を覗いてみてください。

全く使っていないので、水が入れ替わることがない。少しずつ雨水が増えていくだけ。普通ならヘドロのようになってしまうはず。

牡蠣殻の浄化作用、驚くほどの力のあることが分かります。

 

このようなきれいな井戸水(これは井戸水・地下水ではありませんが)、が、日本中のどこでも出てくるような社会にしたい。

そうならない限り、安全な水、安全な土、安全な空気のある社会にはならない。

そのためには、とにかく農薬・肥料をなくさなくては・・・

田舎に行くほど地下水が危ない、この大きな矛盾、本気で解消したいと思っています。

田んぼが広がる地域ほど残留農薬の多い井戸水になる。

酪農地帯が広がる地域ほど硝酸性窒素濃度が高い井戸水になる。

 

私が、お米・大豆・麦について、徹底した自然栽培を求める大きな理由でもあります。

この3つが、日本の農地の大半を占めているのですから。

 

通常は、地下水が、水・土・空気を浄化してくれる。

しかし、今の日本は、地下水が、水・土・空気を汚染させる。

 

農業は、食の生産という単なる職業の一つではありません。

あらゆる面から国土を保全する大切な大事業なのです。

その大切な大事業が、真逆の国土破壊に突き進んでいる。

何ともできなくても、何とかしたいと思うのが「人の道」。

私はそう思っています。

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