昔は静電気を感じる人はいなかった?

昔は静電気を感じる人はいなかった?

合成繊維製品がほとんどなかった戦前までは、静電気を感じる人は少なかったようです。

静電気を感じる人が多くなったのは1960年代に入ってからだといわれています。このことからも静電気と衣類の関係は深いようです。

戦前までの衣服は、綿、麻、シルク素材などの自然生地・天然繊維が主でしたので、適度に水分が含まれていて、静電気発生が少なかったのです。しかし戦後にナイロンが開発されてストッキングなどが女性に愛用されるようになってから、急速に静電気を感じる人が増えました。

またポリエステル素材など同じ素材同士の摩擦でも静電気は発生しますが、特に違う化学素材(合成繊維製品)の摩擦があると静電気は大きく発生することも分かってきました。

衣類の素材によってはプラスを蓄えたがる物もあれば、マイナスを蓄えたがる物もあります。

服を重ね着した時に、蓄えたい電極が違う素材の組み合わせだと(例えばマイナスが帯電しやすい肌着の上に、プラスが帯電しやすいシャツを着るなど)、プラスとマイナスが清算されて安定した状態になります。

しかし、それを脱ごうとする時に剥離が起こり、安定された状態が崩れ、双方とも突然大きくバランスを崩すことになります。そのとき人間は静電気という名の「バリッ、バチッ!」を感じることになるのです。

合成繊維は体にも悪影響?

綿だけの衣類・天然繊維と合成繊維の衣類を着用したときでは、合成繊維のほうが急激に血糖値が上昇することが分かっています。

これは静電気発生により交感神経が刺激され、アドレナリンが分泌されるためです。

アドレナリンは副腎皮質から分泌されますが、静電気が発生すればアドレナリン分泌が増えるのです。

また静電気が発生すれば体内のビタミンCが通常より多く使われ、血中のビタミンC不足となります。

さらにカルシウムが減少することも分かっています。

ビタミンC不足は抵抗力を減らし、風邪などの病気にかかりやすくなりますし、カルシウム不足は骨や歯への影響、イライラ・倦怠感にもつながりますので、たかが静電気と放っておくと健康的にとてもよくないのです。

 

≪衣類の組み合わせ≫

衣類の素材の組み合わせによって、静電気を帯電しにくくすることは静電気防止対策にはとても重要です。

衣類の繊維にはプラスを帯びやすいものとマイナスを帯びやすいものがあります。

マイナスに帯電しやすい / プラスに帯電しやすい














綿












プラスに帯電しやすい素材とマイナスに帯電しやすい衣類を組み合わせると静電気が発生しやすくなるのです。

右に行くほどプラスに帯電しやすく、左に行くほどマイナスに帯電しやすくなります。

この表のうち、プラスとマイナスが離れている組み合わせほど静電気を帯電しやすくなります

例えば、ポリエステルのブラウスを着たときはナイロンのスカートよりも綿のスカートのほうが静電気は発生しにくいのです。

「重ね着をするときには、できるだけ同じ素材」でできている衣類を、またそれが難しい場合でもできるだけ近い衣類の組み合わせを選ぶようにすれば、かなり静電気の発生を防止することができます。

静電気予防に繋がる衣類の組み合わせ

綿のシャツに革のジャケット、フリースの素材はポリエステルですので、フリースを切る場合はインナーにアクリルのものを選べば、お互い隣同士なので静電気を帯電しにくく、結果的に静電気発生を防止することができるのです。

逆に静電気を帯電しやすい組み合わせとしては、ポリエステル(フリース)の服とウールのマフラーなどです。

フリースを着ようとすれば、「ポリエステル」と「ウール」は遠く離れた関係なので、静電気がより起こりやすくなってしまいます。

このように遠く離れた素材の組み合わせは静電気を起こしてください!と言わんばかりの組み合わせです。

これらのことから、プラスとプラスの素材の組み合わせ、またはマイナスとマイナスの素材の組み合わせで重ね着すれば、服を脱ごうとする時に帯電した電気が移動することが少なく、結果として静電気は発生しづらくなるのです。

静電気防止対策には色々ありますが、手軽に、そして今からできて、効果が高いもの、それは衣類を見直すことです。(ここではお話ししませんが、どんなものを食べているかで静電気の発生の仕方が変わるんですよ!)

衣類による静電気防止法としては、まず、合成繊維の衣類をやめ、綿、絹、麻、などの「天然繊維100%の素材」を着ることです。

冬の定番となったフリースも典型的な合成繊維製品ですので、静電気を防止するためには避けたほうがいいかもしれません。