和紅茶

煎茶、ほうじ茶などの茶葉として使用されるものと同じ茶葉によってつくられた紅茶。

あっさりとしていながらも奥行きのある味わいをお楽しみいただけます。

[原材料] 自然栽培茶

[製造元・生産地] 健一自然農園

[内容量] 70g

 

 

砂漠化した土の中でたたずむ茶樹の姿が語る  お茶は砂漠の中で生きる「肥料と農薬」の結晶!?

お茶の栽培も効率優先。大規模化が生む悪循環

番茶1雑草も生えない砂漠化した茶畑の土。外出するとき、あなたは水筒を持っていきますか? 重いし、荷物になるし、ついつい忘れちゃう、という方も多いはず。そこらじゅうの自動販売機やコンビニで買うことができるペットボトル飲料は、とても便利ですよね。

そこで消費が増えたお茶。家で落ち着いてお茶をいれるゆとりがなくなった現代では、ペットボトルのお茶が登場したことは画期的だったのかもしれません。ペットボトル商品は大量生産で、大手企業は茶葉を大量に安く仕入れます。しかし、ペットボトルのお茶の消費量が増えても、決してお茶農家の収入が増えているわけではないのです。必然的に茶葉の生産も効率が優先されます。跡継ぎ問題などで、年老いた生産者が一人頭の栽培面積を少しでも広げなければならない、という問題もあります。効率優先の栽培方法の広がりに、ますます拍車がかかります。

砂のような土  広大に広がる茶樹の畦と防霜ファン、整然とした風景は美しく見えるもの。

もうひとつ驚いたのはさらさらで砂のような土! 一見、茶樹以外の生命を感じることができません。茶樹が、砂漠の中にひっそり佇む奇妙な植物にすら見えてきます。ところが、茶樹の枝をそっと掻き分けて覗いてみると、枝は緑色の苔のようなもので覆われ、樹液を吸って樹を弱らす白い貝殻虫が付いています。枝振りが奇怪なほど横へ伸び、その枝からも根が生えています。幹の周りを取り囲むように枝の密度が高いため、根本は真っ暗で風通し悪く、病気や虫が繁殖しやすいのです。本来、茶樹は根を地下深く伸ばす、乾燥と干ばつに強い植物でした。しかし、今では夏場、大量の水を撒くことが必要になっています。それは、茶葉の収量アップと濃い味を求めるがゆえに、大量に使われる肥料が一つの要因です。肥料があるので茶樹は根を深く張らなくなり、浅い根で肥料を吸い、甘やかされて育つようになったのです。

肥料、農薬のセット

番茶3茶樹の根本を見ると密集して枝が生えているため、向こう側はまるで見えない。さらに地表から15 cmほどのところに密集する細かい根は、「ナガチャコガネ」という虫の温床となっています。それを放っておくと根が傷つけられ、樹を枯らしてしまうので、対策として大量の農薬が撒かれているのが実態です。

肥料から始まる悪循環のほんの一部です。肥料と農薬の使いすぎによる、水質汚染の問題は度々地方新聞でも取り上げられています。雨の日に、河川に集中的に流れ出た肥料と農薬の影響で魚が死ぬ被害もあるのです。それほどお茶の栽培には農薬と肥料が使われています。なんと、雨などで農薬が流れ落ちないように、農薬に糊に似た成分が含まれているほどなのです。これは、しかたのない事だと、続けるべきなのでしょうか。

 

寒暖の激しい霧深い高原で自然のままに活きた大和茶

奈良県の北東部、大和高原と呼ばれる一帯で、一番標高の高い(400m〜500m)都祁(つげ)に位置する「健一自然農園」。40年以上無農薬を続けてきた茶畑を受け継ぎ、志し高く肥料も入れずに、お茶の栽培を復活させました。温かい眼差しを持った、表現者でもある生産者の伊川健一さんが書きつづった言葉を紹介したいと思います。

源流で……僕らお茶づくりをしている。ここに降る雨が、やがては平野の人たちの飲み水に……汚したくない。

しかし……戦後、日本の茶栽培はたぁ〜くさん肥料をまいて、色の濃い甘みの強い形のきれいなものを目指した。結果、土と茶の木は弱り、たくさんの農薬をまかないと維持できなくなってしまった。

そして……大量生産、価格破壊、大規模化を進める中、小さな産地はやっていけなくなり、次々に畑が荒れていく。また……便利さを求める暮らし方が、早さを求める暮らし方が、追い立ててくる時代が、ゆっくり急須でお茶を飲む心の時間を奪っていった。自然は……本当にうまく出来ている。人が欲を少しおさえて待てば、すぐに生命の営みを取り戻し、不自然を調和へもどしてゆく。もったいないねん……こんなに美しい茶畑がみるみる荒れていってる。茶畑にかかわらず、これだけの田畑を今につないでくれはった先祖さん……すんません。外国からじゃなく、日本で自給しよや。無農薬……とか本当は言いたくないねん。特別じゃないから。いつか当たり前になったらなぁ。僕らのDNAは知っているはず、本当に大事にしないといけないことを。

by 健一自然農園

 

村の長老的存在のおじいさんに製茶を学ぶ伊川健一さん

番茶4ご存知でしたか?

新茶♪ 新茶♪ と言うけれど……

新茶は、お茶の飲み頃とはちょっと違います。

昔とは違う、今の世の中が作りあげた、お茶のイベント

日本人は季節感に喜びを見いだし、「旬」という価値観で、一年を通して様々な食を楽しむことができます。豊かな国民性とも言えましょう。

番茶5その一つの表れが「初物好き」です。

米や野菜、魚、酒など、その年その季節、初出荷されるもの、早く出荷されるものは、とても高価なものとなります。

お茶もその例外ではなく、「新茶」というだけで取引価格は跳ね上がります。

たった一日で1,000円も相場が変動する時期があるのです。

新茶は、立春から数えて八十八日目(2008年では5月1日にあたる)に飲んで、昔から不老長寿の縁起物とされてきました。

近年では新茶の時期がどんどん早まり、地域性もありますが、4月上旬から新茶が並ぶところもあるようです。

それはやはり、需要のある相場の高い時期に出荷するメリットがあるからでしょう。出荷の時期を早めようとすれば、霜の影響を受けやすい時期にかかる経費も増え、少しでも早く芽を出すように環境を整える資材と労力も必要となります。そして、新茶は少しでも早く摘んだからといって決して美味しいというものではありません。適切な時期があるのです。

どの生産者さんにお伺いしても、新茶というのはイメージとして定着しているもので、お茶の飲み頃とは少し違うのでは、という見解でした。

本来、質のいいお茶というものは、適切な方法で保管すれば時間が経つほど熟成され、お茶の味がまろやかに美味しくなっていくものだと言われています。

季節感を大切にする気持ちはとても美しいと思います。

新茶の季節にしかない味わいを楽しんだり、季節のご挨拶にも喜ばれることでしょう。

しかし、一日でも早く、茶樹も生産者も無理をする出荷というのは、心が痛みます。

トラストで扱っている煎茶はどれも茶樹と対話して育てられ、自然に添った栽培を大事にしています。

だからこそ、世の中が作り上げた新茶の季節のイメージに無理して乗るのではなく、産地それぞれのペースで作り続けていただけたらと思っています。

皆さんの自然に添った出荷と自然栽培へのご理解によって、より自然な流れで生産者さんを支えていくことができるのです。