自然栽培のみかん

熊本県玉名市天水町の吉田勝也さんの自然に囲まれ山奥に残された空気がとてもきれいな畑。太陽と海の光をたっぷり浴びて育ったみかんです。

自然栽培みかんの特徴は?

果樹が自分のスピードでゆっくり育つので、皮が薄くて実がしっかりつまっています。普通のみかんより剥きにくいかもしれませんが、それが特徴です。

肥料も農薬も使わない、自然栽培のみかんはココが違う!

(1)甘みも酸味もたっぷり

普通の栽培では、甘さを引き出すために肥料を増したり、日光がよく当たるような工夫をしますが、自然栽培では甘さだけを引き出すような人工的な細工はしません。
みかんの木が自然に作り出す甘みと酸味がおいしい!!

(2)ボリュームたっぷりの食感

ズシッと重い自然栽培のみかんは、自然な速度でじっくりと時間をかけて育ち、房のひとつひとつにぎっしりと果汁がつまっています。
はちきれるほどに実がつまったみかんです。

(3)みかんの木が「おじぎ」する

みかんの木が伸びたいという気持ちを大切に育てました。たわわに実が実ると自然に「おじぎ」をしてくれます。
こちらこそありがとうと言いたくなります。

(4)「がんばらない」みかん

普通、みかんは実がたわわになる年とならない年が交互にあります。がんばって実をつけた次の年は実りが悪くなるのです。
植物の生理に添って剪定し、栽培すると、毎年同じようにたくさんの実をつけてくれます。

(5)さらに安心なみかん

肥料や農薬などは一切使わずに、太陽と水と、土の力だけで育ったみかんなので、みかんの実を包む薄皮まで食べられます。
外皮は日光に当てて乾かすと薬味になりますよ。

<自然栽培って?>
肥料も農薬も使わずに、土本来の力だけで野菜や米・果物などを育てる究極の農法です。
土が本来持っている力を発揮できるように手助けをし、野菜や果物が気持ちよく育つように、心をこめて手入れをします。その結果として、生命力がいっぱい詰まった、おいしくて、しかも安全で安心な作物に育つのです。

<肥料なしで野菜や果物が育つの?>
野山の木や草は人が肥料を与えなくても元気に育っています。
本来土は人間が肥料を与えなくても植物を育てる力と仕組みを持っているのです。
自然がすでに持っている仕組みを利用して、その力を引き出す栽培方法が「自然栽培」です。

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吉田さんの笑顔と、みかんの色がまぶしいです

「逆説の果実」。吉田さんのみかんにぴったりの言葉。
逆説だけど、とっても美味しい。それとも、逆説だから、とっても美味しいのか。
吉田さんのみかんは、食べた人を幸せにしてしまう不思議なみかんです。

食べたことない味わい 「おいしい?それは良かった」

お客様の声を伝えると、笑顔いっぱいに喜ぶ人がいます。吉田勝也さん。
70歳を越えるお年を思わせない元気と、無邪気な笑顔は、見ている僕らも元気にさせます。

吉田さんは2009年より耕作面積の1/4にあたる50aで自然栽培に取り組んでいます。
18年間、熊本県天水町の町長を務めながら兼業でみかんの慣行栽培を続けてきました。2008年にみかんの価格の低迷に伴い、栽培を中止しようとしましたが、道法正徳さんとの出会いからみかんの自然栽培に熱意を燃やしはじめました。

道法さんとの出会いが、どのように吉田さんを変えたか?果樹栽培にとって重要な部分を占める剪定方法。しかし、なんとそれは常識の逆をいきます。
吉田さんの思いを変えたその剪定方法はどのようなものなのでしょうか?

果物栽培の専門家「道法正徳さん」との出会い

剪定方法を伝えるべく、今日も全国を飛び回ります  2007年、私たちナチュラル・ハーモニーは、広島県で果物の自然栽培に取り組む1人の生産者、道法正徳さんに出会いました。
広島県の果実農業協同組合で、果物の栽培の専門家として技術指導をされてきた道法さん。
農薬や肥料を使う一般の栽培方法を実践し指導続けてきましたが、全く思うように結果がでません。その技術や方法に疑問を持ち、これまでの果物の栽培技術とは逆の180度違う、樹の生態を活かした栽培を自ら実践し指導されていました。
そんな折、あるご縁でナチュラル・ハーモニーの銀座店を訪問してくださった道法さんは、当社代表 河名秀郎の著書『日と水と土』を読んだそうです。
「自分の求めていた方向性は、まさしくこの自然栽培と同じ。肥料・農薬を使わない自然栽培だ」
と強く共感し、そこから私たちは歩みを共にすることとなりました。

放置されたレモンが教えてくれたこと

道法さんは長きにわたり、レモン栽培に取り組まれています。レモンの栽培で生産者を悩ませているのが「かいよう病」という病気。これはキウイフルーツにもよく発生する細菌性の伝染病で、葉や枝、そして果実におできのようなものができるのです。とても強い伝染力をもつため、病気にかかった樹を切ったはさみで他の健康な樹を切るだけで伝染し、最後には樹を枯らせてしまうほどの病気のため、レモンやキウイフルーツを栽培する農家にはとても恐れられているのです。
道法さんも、このかいよう病に悩まされてきた生産者の1人でした。しかしそんな中、道法さんはある重大な事実を発見することとなるのです。
肥料を与えないまま放置されていた草だらけのレモン畑の草刈りをしていたときのこと。目の前に現れたレモンの姿を見た道法さんは、その信じられない光景に驚愕します。
なんと、レモンの樹はもちろん葉や果実にも「かいよう病」が全く出ていないのです。農薬もかけずに放置していたレモンの樹が見事な果実をつけている事実。
まさに「腰が抜けそうだった!」と当時を振り返ります。
その発見で「肥料に原因があった」ことを直感した道法さんは、ますます自然栽培の可能性を確信したといいます。
「もう、これしかない。残りの人生のすべてを自然栽培にかけよう 」
そう決意するに至るほどの出来事だったのです。

大きな可能性を持つ、常識はずれの剪定方法を発見!

道法さんの果樹栽培は、ただ単に肥料や農薬を使わないということに留まりません。
一般的に、果樹の栽培では樹の枝を切る作業(剪定)が重要だとされていますが、道法さんはあることがきっかけで、常識と逆行する剪定方法に行き着くことになります。
それは、農業普及員として技術指導をしていた頃のこと。農学で常識とされている剪定方法や肥料を与えるタイミングを、道法さんが指導していた700軒の農家に伝えたところ、700軒全てがうまくいかなかったというのです。1軒くらいうまくいくところがあるのならまだしも、誰もいい結果がでない。いったいこれはどういうことなのか……。

「何かがおかしい、何かが間違っている」

この状況に、道法さんは正義感をもって取り組みます。剪定方法は間違っていないだろうか、肥料を与えたり草を刈ったりする常識も間違ってはいないだろうかと常識の「逆」を次々にテストしはじめます。その中で、道法さんはついに、常識はずれとも言うべきある剪定方法に行きついたのです。
道法さんが注目したのは、一般的には必ず切らなければならないと言われている「枝」でした。名前を徒長枝と言い、「いい実をつけない枝」として知られています。
上に向かって伸びていく新芽のため、樹が高くなって作業性が悪くなるのを防ぐ目的もあり、通常の栽培現場であれば徹底的に切ってしまいます。

一般的な剪定方法が生み出す農薬使用の悪循環

ところが道法さんは、徒長枝を切ること自体が、悪循環のはじまりになっていることに気がつきます。実は、徒長枝を切ると、みかんの樹が作り出した植物ホルモンの作用で、自らの根を傷つけてしまうのです。そのため、この枝を切られた樹は根から弱くなり、病気がちになります。そこへ肥料を与えてなんとか育てようとし、無理をするので病気がさらに出る。だから農薬を使わなくてはならないという悪循環に陥ってしまっていたことが分かりました。
そこで道法さんは、徒長 枝を積極的に残すようにしました。すると、劇的な変化がみかんに現れはじめました。甘さと酸みのバランスのとれた濃厚な旨みをもつみかんが、毎年、たわわに実りはじめたのだそうです。

半信半疑の吉田さんも、新たな剪定方法にナットク

吉田勝也さんも、この常識はずれの選定方法を実践する生産者の一人です。しかし、道法さんから伝授してもらった最初の頃は、半信半疑で不安もあったといいます。ところが、実際にやってみると、樹の姿も結果も明らかに違うため、この技術に納得せざるを得なかったと語ります。

「肥料を使っていないのに、剪定方法だけでこれだけ実る。肥料を入れない方が病気にならないのだから、農薬も肥料もいらないな!」

「あの果実の成り方は半端ではない。確かに今までとは全く違う農法だ」

道法さんの講義の最中、「えーっ」という言葉が何度も何度も飛び交いました。しかし理由を聞き、果実がなっている写真を見ていくうちに理解を深め、そして果物の自然栽培に大きな可能性を感じてくださっていました。

逆説の果実

11 月の初め、自然栽培成田生産組合の高橋博さんと共に吉田さんのみかん園を訪れたときのこと。いつも辛口の高橋さんが、たわわに実る吉田さんのみかんの姿を見てこうつぶやきました。
「なるほど、この事実を見ると、何も言えないな……」
みかんの樹の幹から伸びた一本一本の枝に実る、大きくて立派なみかん。道法さんの剪定技術に手ごたえを感じられたようでした。
高橋さんをもうならせた吉田さんのみかん。バランスの取れた味わいは素晴らしく、もちろん皮や実の状態も大変素晴らしい。指導をしてきた道法さんも納得の出来になっています。
農薬、肥料に頼ることなく、みかんの樹の育つ力をいかんなく発揮させた自然栽培のみかん作り。常識を打破し、一見、非常識とも見える自然界の当たり前を掴む取り組みが、みかんの名産地である熊本県玉名市でも新たに始まっているのです。

「逆説の果実」を口にすること。それは、人類の可能性への投資とも考えられます。

人と自然の織り成す旨みのハーモニーを、一人でも多くの人へ伝えたい。吉田さんの力いっぱいの表現は、美味しいみかんにギュッとつまっています。

ナチュラルハーモニー ホームページより
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