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毒を以て毒を制する???

【毒を以て毒を制する】

辞書によると

「悪いことをなくすために、他の悪いことを利用する。悪人を除くのに、他の悪人を使うようなこと。」とあります。

転じて、「感染症を治療するために、原因となった菌を利用する」という意味にも使われるようです。

 

いったい何の話? って思うでしょ。

 

野生動物は、「毒を以て毒を制する」ということを本能として実践している。

ここでいう「毒」とは、自然界にある様々な微生物を含めた細菌やウイルスのこと。キノコの毒やヘビや蜂の毒も含まれます。

さらには、植物に含まれる様々なアクの成分も含まれます。

日々、自然界の中で食を求め、毒のあるものも腐ったものも寄生虫のいるものも食べる野生動物。

それらをエネルギーとしつつも、解毒もしっかりしていかないといけない。

そのときに最も有効な手段が、アクのある植物を食べる、ということ!

 

さて、ここからが本題です。

 

自然栽培を長年している農家さんの多くが言います。

【自然栽培歴が長くなるほど、その圃場での獣害が減っていきます】と。

私も同じ経験をしています。

現在借りている畑は2ヶ所。2ヶ所とも10年以上になります。

1ヶ所は、5年くらい前から頻繁にイノシシが出没するようになってきました。

近隣の畑では、イノシシ対策に苦慮しています。

しかし、私の畑では、イノシシの足跡は頻繁に見かけるのですが、農作物を荒らされたことが一度もないんです。

モグラも同様です。モグラの穴倉はあちこちにあるのですが、農作物を荒らされたことがない。

考えられる理由は、「野菜に野生動物が求めるアクがない」 これしか考えられないのです。

私の畑では、もう10年以上、農薬・化学肥料はもちろん、有機肥料も一切入れたことがない。その場に生えてきた雑草を刈って放置する、収穫後の枝葉をそのまま放置する、つまり、畑に畑以外のものを持ち込むことが一切ないのです。

苗づくりも、畑の土をふるいにかけてそのまま使う。苗用に堆肥を用意することも一切ない。

さらには、「マルチシート」も一度も使ったことがない。

マルチシートを使わないから、そこに腐敗の原因となる雑菌やカビが発生することもない。

 

「昔は、人間と野生動物の棲み分けが出来ていた。しかし、乱開発により野生動物の餌場がなくなり人間のエリアに進出してきて農作物を荒らすようになった」

これが、多くの農業関係者や学者たちの理論です。

それも大きな理由の一つでしょう。

しかし、それ以上に大きな獣害の理由が、「アクのある農作物」を求めるのか、「アクのない農作物」を求めるのかの違いなのでは!!!

私はそう実感している。

 

これを、人間にもあてはめてみよう。

上下水道のなかった時代、人間にとっての最大の難敵は「感染症」だった。

衛生環境の悪い中で、常に腐敗菌含め様々な毒や細菌に晒されていた。

その解消策として「毒を以て毒を制す」 つまり、アクのある植物を食べることによって解毒・排出を促す。

その代表が、春の芽時の多くの野草。苦味のある「ぜんまい」「わらび」「「つくし」「フキノトウ」「セリ」「ヨモギ」・・・ などなど。

それらを有効利用するために乾燥させた漢方薬で年間を通して対処するようになった。

「自然毒を以て自然毒を制す」 野生動物から学んだ人間の知恵だったのでは。

 

ところが、現在の日本は、衛生環境は極端に良くなり、日本中どこに行っても手洗いに事欠くことはない。

腐敗菌や寄生虫が残留する水で手を洗ったり料理をしたりすることはほぼ皆無となった。

結果として、日常生活の中での感染症による死亡事例は限りなくゼロとなった。

 

つまり、今に日本においては、「自然毒を以て自然毒を制す」という必要性がなくなった、ということだ。

 

ところが、今の日本では、何がどう狂ってしまったのか・・・

衛生環境と清潔志向と潔癖主義がごちゃ混ぜでまかり通るようになり、腐敗菌や寄生虫などを退治するために、必要のない化学毒を常用するようになってしまった。

化学毒が、自然界の循環を含めて、人の健康を維持管理してくれている様々な菌まで皆殺しにし、結果として、体調不良の人を増産することになってしまった。

自然界にとって未知の化学毒、【化学毒は自然毒を以て制することはできない】

言うまでもなく【化学毒で制することもできない】

にもかかわらず、衛生環境の悪かった過去の例にならい、漢方薬で対処しようとする。

制することのできない毒は、人の身体にとって毒でしかないのです。薬にはならないのです。

化学合成薬は言うに及ばず!

 

今のところ、化学毒を制する方法はない。

対処法はただひとつ、【使用しない】ということだけだ。

 

化学毒を使えば使うほど、体調不良の人を増やすだけ! このことはしっかり認識しておいた方がいいでしょう。

とはいうものの、今に日本において、化学毒を一切摂取せずに生活することは至難の業、ほぼ不可能と言っていいでしょう。

 

自然毒を制する必要がなくなった今、そして自然毒で化学毒を制することができないことが明白な今、だからこそ、自然栽培のアクのない農作物の常食が重要となってくるのです。

その上で、できる限り化学毒を吸収しない生活を目指す。

 

 

話を野生動物に戻します。

野生動物は、アクのある農作物を求めてさまよう。

アクのある農作物の代表が「動物堆肥を大量に使った有機栽培農作物」です。

「なるほど!」と感じる農家さんも多いのでは!!!

 

また、慣行農法の農薬・化学肥料漬けの農作物も狙われます。

これは、農薬や化学肥料のアクを求めてくるのではなく・・・

農薬や化学肥料を大量に使うと、自然界は、それらをできるだけ早く分解しようとして腐敗菌を大量に作り出そうとする自然界の原理がある。

そこに動物たちが集まるのです。

(悲しいかな、その時に、自然毒だけでなく化学毒も一緒に吸収してしまうから、野生動物や昆虫たちにも異変が急増している。)

 

これは臭いも同じです。臭いを消そうとして消臭剤や芳香剤や殺菌剤などを大量に使うと、逆に腐敗菌が発生しやすくなる。

腐敗臭の原因をわざわざ作っているようなものです。

消臭剤などを使うと、一時的に誤魔化すことはできても、しばらくすると再び・前よりもきつく臭うからさらに大量に使う・・・ 悪循環です。繰り返していると臭いは増々酷くなっていきます。

香水も同様です。体臭を消そうとして使えば使うほど、嫌な体臭が増えていく。だからさらに使う。

この悪循環から早く脱却してくださいね。

「ファブリーズは一時的に菌を殺すが、その後の腐敗菌発生の最大の原因となる」覚えておいてくださいね。

 

話を戻します。

野生動物は、野生の中で様々な毒も食しながら、その毒をアクなどの毒を以て制しています。

人間は(衛生環境の良い日本では)、自然毒を制する必要がないので、自然栽培のアクのない食べ物が最適です。

 

こうした想定から考えられること・・・

自然栽培の農業を広めていくと、人の健康が維持されるようになり、自然環境が守られるようになり、野生動物は自然毒を求めて山に帰り、畑や田んぼを荒らさなくなり・・・

人間と野生動物がいがみ合うことなく共生できるようになる。

 

殺し合う必要もなく、壁や塀や柵を作る必要もなく・・・ 共生社会を作り出すことができる。

 

「野生動物を守る活動」が全国各地で盛んに行われています。

しかし、その多くは、本質的な解決にはなっていません。

全体像がないからです。枝葉末節の活動ばかりと言っていいでしょう。

失礼な言い方かもしれませんが、「小金持ちの環境ごっこ」が、本質を見誤る要因を作っている、とも言えるでしょう。

 

“毒を以て毒を制する必要のない人間社会”をみんなで目指しませんか???

それが、自然界との共生も意味するのです。

 

経済至上主義の人からすれば、私の発言が「毒」そのものかもしれませんね(大笑)。

 

 

おまけで私の大好きな「カラス」のお話を!!!

 

多くの人が理由もなく毛嫌いする「カラス」

人を襲う? ゴミ置き場を荒らす? 電柱に巣をつくる? ・・・

多くの人がカラスは賢いと言う。どんな対策を取ってもイタチゴッコ。

多くの人は、「カラスはずる賢い」と思っていることでしょう。

 

でもね、私が見る限り、ずる賢いのは人間で、カラスは正直な賢さだと思う。

私は20年以上野菜作りをしていますが、カラスに畑を荒らされたことがないんです。

それどころか、集団でやってくる他の鳥たちから畑を守ってくれているのです。

カラスが、畑を荒らそうとする他の鳥たちを追い払う場面を何度も目にしました。

その度に私は、カラスに「ありがとな! 欲しいものがあったら持って行ってもいいぞ!」と声をかけるんです。

 

しかし、近隣のカラスを敵対視する人が作業をする畑や田んぼでは、毎年毎年、カラスが集団となって畑や田んぼを荒らしているのです。

餌場としてではなく、明らかに嫌がらせとしての畑荒らしなのです。

カラスを敵視する人たちは、年に数回、猟友会に依頼してカラス撃ちをします。爆竹を大量に使って追い払おうとします。

仲間を殺されたカラスたちの報復、私からすれば、カラスのささやかな抵抗です。

 

私の畑では、毎年毎年、夫婦となった2羽のカラスが、私の畑の周りを縄張りとして、他の鳥を寄せ付けないようにしてくれています。

私が作業をしていると、数メートルのところまで寄ってきて、滅多にいないミミズを見つけると、それを咥えて私に見せながら「ありがとう」と言っているようなんです。

カエルを捕まえたり、ときにはモグラも捕獲します。その度にうれしそうな顔をして私に見せるのです。

私の畑に来るカラスは、みんな優しい顔をしています。

近隣の畑を荒らすときの顔とは別人(別カラス)です。

 

カラスは自宅にもやってきます。

毎朝、私に挨拶をしに来ているのでは? と感じるほどです。

「カーカー」ではなく、いろんな声を出します。

そのときどきの声に応えて、私も返事をします。

口笛で応えたり、鳴き声を真似してみたり・・・ 楽しいひと時です。

カラスの声の出し方で、カラスのご機嫌も分かるような気がします。

時々「仲間を助けてくれ~」という悲痛な叫びを聞くこともあります。

カラス撃ちが来ているときです。

畑を守ってくれているのに、私は、それに応えられない、仲間を守ってやることができない。

ものすごく歯がゆく感じる瞬間です。

 

野生動物たちとの棲み分け・共存と同じように、カラスとの棲み分け・共存もできる、と私は思っています

 

そのためにも、自然栽培を広め、人間が、動物や鳥たちに愛情の心を持つことが大切だと思う。

闇雲に「動物愛護」の大合唱をするだけで、動物たちを守ることはできません。

「どのように守るのか!」「棲み分け・共存の方法は!」これが大切なのです。

自然栽培を本気で進めていくと、動物たちの動きも見えてきます。

時に動物たちに裏切られることもありますが、それは、他の人間たちのために棲家を奪われてやむを得ずしたこと。

人間の自分都合の裏切りとは本質が違います。

こうしたことも感じながら農作業ができること、喜び・楽しみが倍増しますよ!!!

 

でもね、ここまでのことを感じられるようになるには、言うまでもなく、様々な紆余曲折があったんですよ!!!

こうした生活を目指そうと思っているみなさん、根気よく観察しながら、動物や鳥の目線で物事を見る癖を付けていってくださいね。

2019.05.15