お伝えしたいこと

【小麦粉の価格】

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【小麦粉の価格】

≪国産農薬不使用の小麦生産を阻む、小麦価格のからくり≫

 

日本の小麦の国内自給率は、約10%。つまり90%が輸入小麦ということです。

その90%の小麦、そのほぼすべてを、国内大手商社経由で日本政府が買い取り、特定の製粉会社に売り渡します。

政府が売り渡す小麦の約75%が、製粉大手4社(日清製粉・日本製粉・昭和産業・日東富士製粉)に、75%のうち内約45%が製粉最大手の日清製粉の手に渡る。

日本国内に流通している小麦全体の約40%が、日清製粉経由で出回っているということになる。

製粉業界は、完全なる寡占状態と言っていいでしょう。政府の加護の下(もと)!!!

 

今年の政府売り渡し価格(政府が日清製粉などに販売する価格)は、小麦1㎏ 約50円です。

政府経由の小麦粉の全国平均小売価格は、小麦粉1㎏ 約260円です。

 

現在、麦の登録輸入業者は18社(三井物産・三菱商事・丸紅・伊藤忠・住友商事・双日・兼松・豊田通商・日清製粉など)

日清製粉は、輸入と買取のダブルで利益を得る仕組みとなっている。

政府買取と政府売渡は、農水省の業務だが、言うまでもなく、数多くの天下り団体・天下り企業が介在して、税金を食い物にしている。

 

輸入小麦のうち、約50%がアメリカから、約35%がカナダから、約20%がオーストラリアからです。この3国で、輸入小麦の95%を占めます。

 

政府は、登録輸入業者から小麦をいくらで買い取っているのだろう???

50円以上で買い取っているか、または、50円以下で買い取った後、様々な理由を付けて登録輸入業者に助成金・補助金・交付金などが渡っているのだろう。

 

ちなみに、政府を通さずに小麦を輸入すると、小麦1㎏につき、約90円の輸入関税を納入しなくてはならない。(現在は、暫定措置で30円くらいになっていると思う)

産地・栽培農家・栽培方法の分かる関係の中で個別に輸入をすると、【小麦粉の価格】+【輸送運賃】+【輸入関税】で、小麦1㎏につき、どれだけ安くても300円~500円くらいになる。

これは、玄麦の価格ですから、製粉工程の価格は含まれていません。

 

本当の意味でのフェアトレードを目指す業者にとっては、とても参入できる業界ではないと言えそうだ。

それでも、日本国内の消費者の理解を得ながら、確かな小麦の輸入・販売をしている業者もいる。

特にパン用の強力粉は、日本の風土に合わないため、膨らみの良いパンを求める場合は、輸入強力粉が頼りとなる。

パン用の小麦粉に限ると、国内自給率は1%を切ります。

農薬や肥料、ポストハーベストの心配のない小麦粉を求めるのであれば、個別に輸入している業者のものを選ぶしかない。

 

本当の安全を求めるのであれば・・・ また、大企業と天下り団体に税金を食い物にされる仕組み・流れを解消したいと考えるのであれば・・・

政府経由の小麦の10倍以上の価格を承知の上で、消費者が本気で買い求め続けるしかない。

 

 

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ここまでは、日本国内に流通する小麦粉の90%を占める輸入小麦について、大雑把に説明しました。

では、残りの約10%の国内産小麦の仕組みはどうなっているのでしょう???

 

政府も・・・ 都道府県も・・・ 市町村も・・・ そして全国農協関連企業も・・・ みんなみんな口を揃えて・・・ 「国内自給率を上げよう!」と声高に叫んでいます。

しかし、実際は・・・ いつまで経っても自給率は上がらず・・・ それどころか・・・ 国内小麦生産から撤退する農家のほうが圧倒的に多い。

 

現在の日本の消費者動向を考えると、輸入小麦にできるだけ近い小売価格にしないと自給率アップは見込めない。

そのために、様々な補助金・助成金・交付金制度がある。

一見、良いことのように感じる人が多いのだろう。

しかし、その実態は・・・

複雑すぎて説明しきれないが・・・ ものすごく大雑把に・・・ 概算で説明しますね。

 

大原則として、様々な制度の恩恵を受けられるのは、「認定農業者」です。

この「認定農業者」の線引きが実に曖昧で・・・ 栽培した農作物の大半をJAに出荷する農家は、「認定農業者」の認定を受けやすい。

農薬を一切使わない農家が「認定農業者」の認定を受けるのはかなり難しい。

認定農業者の特典は、補助金・助成金・交付金だけでなく、実に幅広く様々な恩恵がある。

ちょっと調べるだけでも次から次へと出てくる。

 

以下に説明する交付金などは、原則として認定農業者に限定され、かつ、JAや県の指導に基づく「栽培銘柄」「栽培方法」「栽培手順」「使用農薬や使用肥料」などを遵守した農家が受けることのできるものです。

キロ当たり交付金や面積当たり交付金があるが、全国平均反収などをもとにすべて1㎏あたりの交付金を概算で出してみました。

都道府県や市町村によっては、これ以外にも補助金制度があるようですが、ここでは省略します。

【水田活用の直接支払い交付金】=【1㎏当たり、約100円】

【諸外国との差額補填等直接支払い交付金】=【1㎏当たり、約120円】

【作付面積に応じた交付金】=【1㎏当たり、約60円】

 

一般に、慣行栽培と言われるJA指導の下に栽培される小麦の場合、1㎏当たり約280円の交付金を受けることができる。

農家は、小麦を出荷することで、1㎏当たり約280円を受け取ることになります。。

 

農家がJAなどに販売する価格は、銘柄や地域によって大きく違いますが(1㎏当たり約30円~100円)全国平均でおおむね1㎏当たり約50円です。

輸入小麦を政府が製粉会社に売り渡す価格とおおむね同じです。

 

農家(50円) ⇒ JA・製粉会社など ⇒ 卸小売りの流通業者 ⇒ (260円)消費者

 

結果として、国産小麦も輸入小麦も似たような価格で流通可能となります。

(現実は、国産小麦のほうが圧倒的に高い価格で流通していますが・・・)

 

国内慣行栽培農家は、1㎏当たり約50円で販売しますが、その後280円の交付金を受け取りますので、実質、1㎏当たり約330円で販売したことになります。

農家は、いつしか・・・ 小麦の販売が目的ではなく、交付金の受け取りが目的の農業に変わっていってしまう。

 

農家が330円で販売した小麦が、その後、製粉などの加工工程や中間業者のマージンなどを加えられて・・・ それが1㎏当たり約260円で消費者に販売される。

 

どう考えてもおかしいでしょ!!!

 

 

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様々な交付金には、様々な天下り団体と天下り企業が関与している。

ここでも、税金が食い物にされている。

 

消費者は、小麦粉や小麦製品を安く購入出来てありがたいと考えるかもしれない。

しかし・・・ 安くするための原資はすべて税金だ。

安くなる以上に、大企業や天下り団体やその役員に多額の税金が流れている。

小麦以外にも同じような制度で税金が食い物にされているものがたくさんある。

そうしたものをすべて洗い出したとしたら・・・ 消費税相当額分以上の金額が、流用されているかもしれない。

今よりもかなり高い価格の小麦粉を購入してでも、消費税が廃止されるのであれば、断然健全な社会になるだろう!!!

消費者一人一人の負担も大きく減るだろう。

 

 

それ以上にもっと大きな一番の問題は・・・

真に安全な小麦を入手できる仕組みが全くないことだ。

輸入小麦も国産小麦も・・・ 農薬漬け小麦ばかりが手厚い保護・加護を受けている。

農薬不使用の国産小麦も、ほんのほんの一部の大規模農家が栽培するものは、一部交付金を受け取っているかもしれないが、それは、統計にも上がらないほど微々たるものだ。

 

多くの消費者が求めている「農薬を一切使用していない小麦粉」

農薬不使用の小麦粉はどうしてこんなに高いのだろう??? と思っている人も多いと思う。

でも、逆なんです。

農薬使用の小麦粉が、栽培原価を無視した廉価になっているだけなのです。

小麦粉1㎏、どう考えても、50円でできるはずがない。

 

小麦粉の平均反収(1反=300坪=10アール)は、全国平均で約350㎏です。

350㎏×50円=17,500

17,500円で300坪の栽培ができると思いますか?

トラクターやコンバイン、草刈り機の燃料代にも満たない金額です。

人件費なんて全く考えることもできない金額です。

 

国からの交付金を全く受けることのできない農薬不使用農家の多くは、そんな状況の中でも、【真に安全で・環境を汚染しない小麦】の栽培をしてくれている。

彼らの生活を維持できるだけの金額で買い続けてくれる消費者がいなければ続けることができない。

そして、【農薬不使用の小麦粉しか使わない】【農薬不使用の小麦製品しか購入しない】という消費者が増えていかない限り、安全な食が増えることはないし、自給率が上がることもない。

本気で農薬不使用の小麦栽培で生計を立てようとする若者たちがふるはずもない。

 

 

国の交付金制度から逆算すると、

交付金を受けられない農家は、最低でも1㎏当たり330円以上で出荷しなければ生活できない。

330円で出荷された小麦は、その後、製粉所などで製粉され、包装・梱包され、流通業者を介して販売される。

一般的な流通経費も加えると、消費者小売価格は、最低でも1㎏当たり1,000円くらいになる。

 

国の保護の下、約50円で出回る小麦と同じ土俵に上がれるはずはない。

 

これが、自然栽培(農薬不使用だけでなく、肥料も一切使用しない)であれば、最低でも1,500円~2,000円くらいの小売価格になると思います。

安定栽培までに年数がかかり、その間の生活費用も換算しないといけないからです。

また、自然栽培の場合、原則として、転作という発想はなく、同じ畑で、小麦であれば小麦だけを栽培し続けるので、転作補助金を受けることもできません。

(転作補助金制度はなくなりましたが、手を変え品を変え・・・ 結局は、同様の交付金制度が出来上がりました)

 

 

なぜ【自然栽培】なのか・・・

小麦アレルギーの人、ものすごく多いですよね。

 

これまで何度もお話してきましたが・・・

【小麦アレルギーの原因は、小麦ではない!】

小麦の栽培に使われる農薬や肥料などがアレルギーの原因です。

小麦は、発症のきっかけとなる介在物質でしかないのです。

小麦アレルギーの人は、小麦だけでなく、次から次へと様々な物質のアレルギーになっていきますよね。

これは、小麦に限ったことではありませんが・・・

大豆(遺伝子組み換え)でも、卵(鶏のエサや薬品)でも、ソバ(大量のポストハーベスト)でも、エビ(養殖池のエサや薬品)でも・・・

それらに使われている化学物質、その微量残留化学物質が、アレルギーの最大の原因であること、もっと真剣に見つめ直して欲しいと思います。

 

原因不明と言われる様々な病気が激増しています。

本当は原因不明ではなく・・・ アレルギーという症状(身体に入れたくないものが身体に入ってきたことに対する拒否反応)が、様々な形で表面化されてきただけなのです。

 

話を戻して・・・ なぜ? 【自然栽培】なのか?

 

農薬の有害性は今さらお話ししなくてもいいですよ。

農薬については、ひとりひとりが、農薬使用商品を一切使わない、ということにどれだけ真剣に向き合っていけるかどうか・・・ ただただそれだけのことなのでは!!!

化学肥料についても同様ですね。

 

問題は、【有機肥料】です。

この問題も、これまで何度もお話してきました。

有機肥料は、ものすごく安全なものから化学肥料以上に危険なものまで、玉石混交・ピンキリなのです。

単に、【有機栽培】と表現しただけでは、その安全性は、判断できないのです。

 

動物堆肥の場合、畜産時に使われる様々な薬品が残留するとともに、高濃度の硝酸性窒素が大きな問題となります。

 

下水処理場の汚泥を発酵させた有機肥料が、全国のJA関連企業から大量に出回っていますが、重金属・抗がん剤・合成界面活性剤・マイクロプラスチック・・・ などなど、ありとあらゆるものが微量に残留しています。

 

これらが、有機栽培の有機肥料として、当たり前に使われているのです。

安全なはずないですよね!!!

こうしたものを利用して栽培された農作物を食べていたら・・・ いずれは、身体に異変が出てきて当然だと思いませんか???

 

化学物質過敏症(CS)と言われる人たちは、こうしたものを微量であっても感じ取れるセンサーを持った人たちなのです。

本当は、病気ではなく、優れた感覚を持った人たちなのです。

CSの人たちが当たり前に安心して食べられるものが、多くの人にとっても安全なもの、と言えるのではないでしょうか。

 

 

交付金漬けの中で流通される小麦で、CSの人が安心して食べることのできる小麦はほとんどありません。皆無と言っていいかもしれません。

 

本当の安全、本当の環境保全を目指すのであれば・・・

価格ではなく、

“誰が” “どこで” “どのように” 栽培したものなのかをきちんと確認できるものを購入しましょう。

そういう人が増えていかない限り、安全な世の中にはならないということ、肝に銘じておいて欲しいと思います。

 

 

最後に、これだけはお伝えしておかなければ・・・

 

国が、政府が・・・ 自ら真に安全な食べ物の自給に本気で取り組むことは決してありません。

(上辺のきれいごととしての言葉だけは並べ立てますけどね)

 

世間の空気として、「それは許さない・許されないこと」という雰囲気が大きくなってこない限り変わらないのです。

彼らは、現状の甘い汁を自ら捨て去ることはしない。それどころか、もっともっと・・・ あの手この手で甘い汁の許を作ろうとしている。

国の経済を牛耳る人たちとは、そういうものなのです。

 

 

真に安全な食べ物を広めようとする人たちが中心となって日本を牽引していく社会になるためには、消費者が、価格ではなく本質を見極めた消費活動をしていくことでしか可能とならないのです。

 

 

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【私の提案】

「化学物質過敏症の人を100人くらい集めて、その人たち全員が、違和感なく安心して生活できる環境(食環境・住環境・社会環境など)を整える研究を国費でしっかりしていって欲しいと思います。

その結果・成果を広く社会に知らしめ、それに合致した生活環境を社会全体で作る取り組みをしていく。

こうしたことを徹底していけば、経済循環なんてことを考えなくても、自然に経済は循環していくのです。

誰かが富を独り占めしようとさえしなければ・・・

富の集中を企てる人たちを、蚊帳の外に追い出すことができさえすれば・・・

現状、不可能と言っていいのでしょうが・・・ 不可能だと言って諦めるのではなく、とにかくひとりひとりが、できることをしっかりと積み重ねていくことが大事だと思っています。

 

 

そのためには・・・ やはり・・・ 私たち一人一人が、農薬を少しでも使ったお米や小麦粉を一切食べない、ということを徹底していかないとね!!!

 

 

≪ 蛇足 ≫

日本全国に、多くの天然酵母のパン屋さんがあります。

その多くが、「国産小麦粉」「農薬不使用小麦粉」を使用しているかのような宣伝をしています。

よく見ると、ほとんどすべて「できる限り・・・」とか「できるだけ・・・」という表現が使われています。

「できる限り・・・」「できるだけ・・・」という表現は、要注意です。

本当にできる限りの努力しているお店は、1割にも満たないでしょう。

 

もし・・・ 本当に・・・ できる限りの努力をしているのであれば・・・ 年数を重ねるごとに、少しずつ農薬不使用の小麦粉の使用割合が増えていくはずです。

しかし・・・ 実際には・・・ 5年経っても・・・ 10年経っても・・・ その割合が増えていかないお店がほとんどです。

それどころか・・・ 宣伝だけは、ますます立派なこと・きれいごとが増えていくのに、農薬不使用の小麦粉の使用割合は、逆に減少していくというお店が多いのです。

ほんの一部だけ、農薬不使用の小麦粉を使い、そのことだけを宣伝し、実は、90%以上の小麦粉が、上記の政府経由の小麦粉、なんてお店が多いのです。

 

中には、いかにも使用小麦粉がすべて「自然栽培の小麦粉」のように思わせて、実際に使用している農薬不使用の小麦粉の割合は23%というお店もありました。(実際に訪問してお話を聞いて確認してきたお店です)

 

さらに蛇足ですが・・・

「天然酵母使用」というのも【要注意】です。

「天然酵母」だけを使用して発酵させているのか・・・ それとも、天然酵母以外のものも使って発酵させているのか・・・

意外と多いのです。「天然酵母使っています」と言ったほうがいいお店が・・・

実際の発酵は、「純粋培養菌(化学培養菌)」や「ドライイースト」でして、宣伝のために「天然酵母」を加えて「天然酵母使用」としているお店が・・・

 

山崎製パンや敷島製パンやフジパンなどのことを考えれば・・・ 良いことをしていることになるのかもしれませんが・・・ それでもやっぱり・・・ 正直であって欲しいですよね。

「噓は言っていない!」ではなく・・・ 「わざと誤解させるような宣伝行為」は辞めて欲しいものです。

2021.08.14